2009年6月3日水曜日

ライ麦畑の冒頭一文 野崎訳



 さて昨日の復習から。何事も最初が肝心(このブログもね)。サリンジャーの原文1行目は以下のとおり。

If you really want to hear about it, the first thing you'll probably want to know is where I was born, and what my lousy childhood was like, and how my parents were occupied and all before they had me, and all that David Copperfield kind of crap, but I don't feel like going into it, if you want to know the truth.


 対する野崎訳を見ていこう。[野崎孝,1964 p.5]

もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生まれたとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、僕が生まれる前に両親は何をやってたかとか、そういった《デーヴィッド・カパーフィールド》式のくだんないことから聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。

 まずは全体を味わう。原文と比べて野崎訳は「忠実」だろうか。訳のうまさはどこにあるだろうか。それは but~ 以下だと思う。


 but I don't feel like going into it, if you want to know the truth.
 実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。


 次回は村上訳を見てみよう。



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